呉市（以下「本市」という。）は，瀬戸内海のほぼ中央部，広島県の南西部に位置し，瀬戸内海に面する陸地部と，安芸灘諸島などの島しょ部で構成される気候温和で自然環境に恵まれた都市です。

   本市は，鉄鋼・造船など重工業を中心とする「ものづくり産業」が集積する工業都市であり，戦後の旧軍財産の転活用に始まり，産業団地の整備，先端産業の誘致，新産業の創出などへの支援を積極的に行うことにより，広島県全体の高度成長を支えてきました。しかしながら，平成２０年秋以降の世界的な金融危機や長びく円高の影響などにより，企業の経営環境は厳しさを増しており，景気が回復しない中，地域の経済や雇用にも大きな影響を与えています。

   このような中，本市では，平成１２年に地域企業の総合的な支援拠点及び産学官連携の中心的推進機関として呉地域産業振興センターを設立し，平成１７年より，事業のより一層の効果的・効率的な運営を図っていくために，財団法人くれ産業振興センターに組織変更し，地域企業の新技術，新製品開発等の支援を行っております。

   また，呉商工会議所においても，地域中小企業や小規模事業者の経営改善等を支援する拠点として呉地域中小企業支援センターを開所しており，これら両センターが連携を図りながら，地域企業の活性化に向けて，各種の事業を実施しています。

   一方，平成１５年から平成１７年にかけて，下蒲刈町，川尻町，音戸町，倉橋町，蒲刈町，安浦町，豊浜町，豊町の８町と合併したことにより，美しい自然や歴史，文化，地域産業など，特色ある多くの地域資源を有することとなりました。こうした地域資源は，島しょ部を中心とした地域における活力の源となっており，みかんやレモンなどのかんきつ類，トマトやネギなどの野菜など，特色ある農産物の生産や加工，販売などを通じて，地域の活性化が図られています。

   また，旧海軍ゆかりの施設をはじめ，清盛伝説に育まれた音戸の瀬戸や，朝鮮通信使との交流を伝える松濤園，瀬戸内の多島美を望む瀬戸内海国立公園野呂山など，豊富な観光資源を有しており，ホテルや旅館などの観光関連施設が集積しています。